Northern Australia

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カカドゥ国立公園を擁するこの地域。インターネットで調べてみると、ワニが多く生息し、人命が犠牲になったなどと言う話も出てくる。淡水ワニと塩水ワニの２種類がいて、などと知識を詰め込み、とにかく水辺にはうかつに近づかないように注意しよう、それだけは言い聞かせて旅に出た。
その水辺は野生が豊かで、シーイーグルやジャビルー(コウノトリの一種)などの大型の鳥がくつろいでいる。青色が美しいカワセミもあちこちで目に留まる。蓮や睡蓮などの花も大自然の中ではひと際麗しい。昼間はすっかり自然に溶け込んで楽しんでいたが、夕方になるとあたりの風景が一変した。空が赤く染そまると、森は暗く静まり返り、水は深い闇を透かす。ホテルに戻る時間を促すかのように、鳥の群れが慌てて巣に戻って行く。しかし、赤い色で満たされていく空と水面に見とれていると、足が止まってしまった。鳥の群れは途絶えることなく夕日に焼けた雲を横切って行く。
ついに太陽が地平線の下に沈み、我に返ると、足元には悠々とワニが泳いでいるのであった。